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現代に生きる新約

NO.523 2018.08.19

「天国の喜び」    ルカの福音書10章17-24節   西田育生牧師

 

イエスは12人の弟子たちを遣わしたのち、70人を選んで二人ずつ遣わしました。その70人が伝道から帰ってきて報告をするのですが、みな、喜びと興奮に満ち溢れていたのでした。
 70人は「確かに、わたしは、あなたがたに、蛇やさそりを踏みつけ、敵のあらゆる力に打ち勝つ権威を授けたのです。だから、あなたがたに害を加えるものは何一つありません。」(ルカ10:19) とあるので、今まで自分の持っている力以上の働きができて驚いたことでしょう。今日の聖書箇所とは違いますが、「金銀は私にはない。しかし、私にあるものを上げよう。ナザレのイエス・キリストの名によって、歩きなさい」(使徒3:6) とあるようにこの大きな力の裏には、イエスのみ名の権威が裏付けされています。
 私たちキリストを信じる者でもこの世に生きている限り、いろいろなものに価値観を見出しています。グルメ情報に詳しい人がいれば、鉄道マニヤもいます。通帳の残高が増えるのを見ては喜ぶ人もいるでしょう。主の祈りでは「御心が天で行われるように地でも行われますように。」と祈りますが、70人の弟子たちはそれに匹敵する業を成し遂げたことでしょう。しかし、真の喜びはそこにあるのでしょうか。そうではなく、天に自分の名が刻まれていることをおおいに喜ぶべきなのです。その価値観の変化をパウロは味わい、次のように表しました。「しかし、私にとって得であったこのようなものをみな、私はキリストのゆえに、損と思うようになりました。それどころか、私の主であるキリスト・イエスを知っていることのすばらしさのゆえに、いっさいのことを損と思っています。私はキリストのためにすべてのものを捨てて、それらをちりあくたと思っています。」(ピリピ3:7-8) 生まれも育ちも教養も地位も、あらゆることに優れていたにも関わらず、キリストをこの手に抱いたことが何にも代えがたい、と価値観が大転換したことを告白しているのです。
 天の御国では何をするのでしょうか。それは「私たちの見たこと、聞いたことを、あなたがたにも伝えるのは、あなたがたも私たちと交わりを持つようになるためです。私たちの交わりとは、御父および御子イエス・キリストとの交わりです。」(Ⅰヨハネ1:3) とあるようにイエスとの交わりであり、神と聖霊との豊かな交わりです。ほかの聖書箇所でも「またわたしは、あなたがわたしに下さった栄光を、彼らに与えました。それは、わたしたちが一つであるように、彼らも一つであるためです。わたしは彼らにおり、あなたはわたしにおられます。それは、彼らが全うされて一つとなるためです。それは、あなたがわたしを遣わされたことと、あなたがわたしを愛されたように彼らをも愛されたこととを、この世が知るためです。」(ヨハネ17:21-23)と語っています。このようにイエスの恵み、神のご愛、聖霊との交わりはこの上もない喜びと恵みと充実感に満ち満ちているのです。
 そこではあなたの存在(Being)が尊重されます。どんなにすばらしいことを成し遂げたか(Doing)ではありません。この世界では成果主義であり、成績優秀な人が褒められ実入りも大きい。会社や家庭だけでなく、時には教会生活の中でも成果を求められるところがあるようです。確かに成果は重要です。実入りは多い方がいいです。しかしその動機はどうでしょう。競争心や優越感が動機であり行動の原動力だったとしたら息が切れてしまうでしょう。ダメなときは落ち込んだり、いわゆる燃え尽き症候群に陥ったりと悪いこともあります。そうではなく、イエスの恵み、神のご愛、聖霊との交わりによる喜びと興奮によってそのエネルギーが湧き出てくれば、それによって Doing が変わってくるのです。
 天国の喜びや興奮は天国に行かないと得られないのでしょうか。天の御国の前味としてこの世でできることは何でしょうか。神やイエスや聖霊と交わり、教会の兄弟姉妹との交わりを通して喜び楽しむ。そんな豊かな生活がここにあります。「神の国はあなたがたのただ中にあるのです。」(ルカ17:21) のですから。


≪分かち合いのために≫

  1. イエスの御名によって祈ったことで体験した神の御業はありますか。
  2. イエスを信じる前と信じた後の価値観の変化や喜びの変化はありましたか。
  3. 神との関係を強めるためにチャレンジすべきことはどのようなことでしょうか。

 

 今日の暗唱聖句

 

「だがしかし、悪霊どもがあなたがたに服従するからといって、喜んではなりません。
ただあなたがたの名が天に書きしるされていることを喜びなさい。」(ルカ10:20)

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