■ルカの福音書 4/7/2013
教えを始められたとき、イエスはおよそ三十歳で、人々からヨセフの子と思われていた。(ルカ3:23)
イエスが教えを始められたとは、宣教の開始を意味いたします。その宣教開始の年齢はおよそ30歳であったと記されています。この30歳は聖書では大切な年齢としてみることが出来ます。
ヨセフがエジプト王パロから国の指導者として任命された年齢が30歳でした(創世記41:46)。ご存じのようにヨセフは自分の兄弟にエジプトに売られたのですが、その不遇の人生からパロの信任を経て、国を飢饉から救済し、エジプトに繁栄をもたらすキーマンとして用いられることになるのです。そのターニングポイントが30歳という年齢でした。同様に、サウル王が王として任命されたのも(Ⅰサムエル13:1)、ダビデが王となったのも30才であった(Ⅱサムエル5:4)と記されています。ですから、30歳という年齢は公の場に出て、様々な働きを担う節目の年であるということができるでしょう。イエスにとっても同様に30歳からイエスの公生涯が始まったのです。ですからイエスが宣教をし始められ、その年齢を聞いたとき、神の国を待ち望んだ人たちは、いよいよイエスがメシアとしての活動を開始されたと期待したことも想像に難くありません。
更に、ルカはイエスの素姓についても明らかにしつつ、イエスが神の子としてこられたお方であることを示そうとしています。当時の人々はイエスを「ヨセフの子」として捉えていました。多くの人達はイエスを神の子としての認識をまだこの時点ではもってはいませんでした。しかし、ルカは人々の認識が「ヨセフの子」であることを記しつつ、しかし、実は霊に於いてはイエスは神の子であることを、系図を記すことで示そうとしています。
人として、マリヤとヨセフの子として生れたイエス。しかし、イエスの生涯はいよいよ公生涯に入られ、この世に来られた神の子としての歩みを進んで行かれるのです。そしてその道は十字架ヘの道へと続いていくのでした。